待ち受けカノジョ。
「たぶん連絡は取れないと思うんですが、どうしたんですか?」
監督が早口でしゃべり出す。
「ええ、内装の壁紙なんですがね、滝沢さんのご注文と違う物を、間違えて貼ってしまってですね、ええ、大至急剥がしてちゃんと張り替えるんですが、工事の工程が1日か2日、延びてしまうかもしれませんでしてね、それで…」
「ちょっと見せてもらえませんか?」
「あっ、はい。どうぞどうぞ」
ビニールシートをくぐって中に入ると、店と店の間にあった壁はすっかり壊されていて、ガランとした空間が広がっていた。
壁は淡いブラウンの木目調になっている。
「滝沢さんのご希望はですね、白地に黒の細いストライプなんですよ」
「それじゃあ、全然違いますね」
「そうなんですよ。ですからね、この木目で了解をいただければ続行しますんですが、いかんせんダメだろうと…」
ダメだろうね、そりゃ。
「実はですね、事前に滝沢さんから『何かあったら息子に言って下さい』てな事を言われておりましてですね」
「えっ、僕ですか?」
「ええ、そうなんですよ。『どうにもならない最悪の場合は、息子が判断するからそれに従ってくれ』という事でしてね、ハイ…」
えっ、オレの判断?
監督が早口でしゃべり出す。
「ええ、内装の壁紙なんですがね、滝沢さんのご注文と違う物を、間違えて貼ってしまってですね、ええ、大至急剥がしてちゃんと張り替えるんですが、工事の工程が1日か2日、延びてしまうかもしれませんでしてね、それで…」
「ちょっと見せてもらえませんか?」
「あっ、はい。どうぞどうぞ」
ビニールシートをくぐって中に入ると、店と店の間にあった壁はすっかり壊されていて、ガランとした空間が広がっていた。
壁は淡いブラウンの木目調になっている。
「滝沢さんのご希望はですね、白地に黒の細いストライプなんですよ」
「それじゃあ、全然違いますね」
「そうなんですよ。ですからね、この木目で了解をいただければ続行しますんですが、いかんせんダメだろうと…」
ダメだろうね、そりゃ。
「実はですね、事前に滝沢さんから『何かあったら息子に言って下さい』てな事を言われておりましてですね」
「えっ、僕ですか?」
「ええ、そうなんですよ。『どうにもならない最悪の場合は、息子が判断するからそれに従ってくれ』という事でしてね、ハイ…」
えっ、オレの判断?