待ち受けカノジョ。
「見ろ!いいだろ、これ!!」

オレの前に広げられたのは、鮮やかなマリンブルーのTシャツ。


胸の所には、縦書きで毛筆で書かれたような黒い大きな字で

“ふぃじ~”

とプリントされている。


「こんなん着るか!!」

「あ?お前のためにわざわざ買ってきたんだぜ?」

「は?ウケ狙っただけだろが!!」

睨み合うオレと父ちゃんの間に、友美さんが割って入った。

「まあまあ。パジャマにでもすればいいじゃないの」

「フン!俺が着るからいいっ!!」

父ちゃんは捨てゼリフをはいて、バタン!と玄関のドアを閉めて出て行った。


「あ~あ、恭平スネちゃったよ?」

友美さんがオレをチラ見する。

「あ~、もう!ただでさえめんどくさいのに、スネるともっとめんどくさいんだよな~、あのオヤジ!」

友美さんがプッ!と吹き出し、オレもつられて笑った。
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