待ち受けカノジョ。
友美さんが作る、カレーのにおい。

ああ、誰かが作ってくれたご飯が食べれるなんて、幸せだなぁ…

葵に下僕のようにコキ使われてたから、ありがたさが身にしみる。


「よし、後は煮込むだけ」

エプロンをはずしながら、友美さんがソファーに座った。

「ごめんね、疲れてんのに作ってもらっちゃって」

「いいのよ!そろそろ家庭の味に飢えてたでしょ?」

ピンポーン、正解です。


「順平…行ってきた?お母さんの所」

「うん」

「義明と順子、元気だった?」

「うん。ウエディングドレス、すごい喜んでたよ」

「そう!それは良かったわ」

友美さんが、ホッとしたように一息つく。


「あのね、春に義明と会った時、義明が言ってたの。『順子はまだ苦しんでる』って…」


それから、友美さんは淡々と話し始めた。
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