待ち受けカノジョ。
「じゃ、何かあったらインターホンで知らせて下さいね」

成田さんが病室を出て行く。

オレはその後に続いて廊下に出た。


「成田さん、ありがとうございました」

ニヤ~ッと笑う成田さん。

「やっぱり、奈緒ちゃんが本命だったんだね」

「はっ!?」

どういうこと?


「だって、あなたが入院してきた時、待ち受けが奈緒さんだったじゃないの」

「…あっ!」

思い出した。


成田さんが、勝手にオレの携帯見たんだった。

その時にはもう、奈緒は携帯の中にいたんだ…


「じゃあまた、夕方回診に来るわ」

歩き出そうとした成田さんの足が止まった。


「あら、こんにちは」

その言葉に気付いて視線を向けると、そこには白髪混じりのスーツの人が立っていた。





ガラッ

ドアが開く音。


滝山くん、戻ってきたのかな。


「あ、あなた!!」


えっ?『あなた』?


お母さんがそう呼ぶ人は、一人しかいない。

…お父さん!?


「久しぶりだな」

少ししゃがれてる低い声。


間違いない。

確かに…お父さんの声だ。
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