待ち受けカノジョ。
「奈緒…?」

携帯を開いた。

「あ…たきや…くん」

うずくまる奈緒の声は、話すのもやっとなくらい、か細い。


「でんち…あった?」


奈緒……

ぐっと胸が締め付けられる。

「…ゴメン」

「そ…か」

ディスプレイにボトボトと涙が落ちる。

「本当にゴメン…」


奈緒が体をゆっくり起こして、フラフラと立ち上がった。

「奈緒!ムリしなくていいから!」

画面に両手をついて、真っ青な顔なのに笑ってオレに話しかける奈緒。

「ご…めんね…」

「奈緒っ!もうちょっと頑張ってくれ!取り寄せるから!」


奈緒が首を振る。

「もういいよ。ありがと…」

「奈緒っ!!」

「最後に…聞いて?お願いしたいことが…いっぱい…」

涙がじゃまして声が出ないオレは、何度もうなずく。
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