待ち受けカノジョ。
一日中走り続けて、さすがに足がもつれてきた。

この上り坂が一番キツイかも。


はぁ…はぁ…


奈緒もがんばってるんだ。

がんばれ、オレ!


ゼイゼイ言いながら膝に手をついて、なんとか坂の頂上についた。

ここから先は、長い下り。

よし、勢いつけるか!

深呼吸した後、足を一歩踏み出した。


下り坂のおかげでスピードはどんどんあがり、景色がすごい速さで流れる。

ここを下れば家までもうすぐだ。

速度と胸の高鳴りが、シンクロしてるみたいにヒートアップする。


もうすぐ…

もうすぐ奈緒を助けられるんだ!


あれ?

そういえば。

ふと、あの日の事がよみがえる。


そういえば、オレと奈緒がぶつかったのはこの坂の下だった。


そうだ。

オレはスマホ買おうとしてて、レアめくストラップをはずしてたんだ。

奈緒の自転車はブレーキが壊れてて、止まらなかったんだっけ。


今、バタバタと駆け下りる勢い付いたオレの足も止まらない。
< 297 / 321 >

この作品をシェア

pagetop