待ち受けカノジョ。
教室に向かう階段を上ると、平石が慌てた様子で走ってきた。

「滝山君!」

「あ、平石…おはよー」

平石がオレの腕をつかむ。

「ちょっ!ちょっと来て下さい!」


ズルズルと引っ張られるまま渡り廊下に来ると、女の子の集団が輪になっていた。

「何してんだよ、小川っ!」

千夏の大声が聞こえる。

よく見ると、中心にいるのはみんなに囲まれておびえている桃香ちゃん。


「どういうこと?」

オレの問いかけに、平石は首をひねる。

「僕もよく分からないですけど、滝山君にも関係あるみたいですよ?」

えっ!?なんでオレ!?


「あっ!滝山クン!!」

オレを見つけたのは、吉祥寺で会った絵理だった。

「おい!滝山順平!!」

千夏も気付いた。

「アンタもこっち来なさい!」

えぇ~?

じわじわと後ずさりをしながら、助けを求めるように平石を見る。

平石はそんなオレをチラッと見た後、またオレの腕をグイッとつかんだ。

「ちょ、ちょ!ヤメテ!平石ヤメテ!」

オレをズルズル引っ張った平石が、

「はい、どうぞ」と言って、オレをポイッと差し出す。


円の真ん中で生贄状態のオレ。

もう逃げられない!
< 307 / 321 >

この作品をシェア

pagetop