待ち受けカノジョ。
―――

始業式が終わり、オレと奈緒はある教室の前に立っていた。


ガラッとドアを開ける。


鼻に飛び込んでくる、古い紙と木のにおい。


ここは、誰もいない静かな図書室。

カーテンがただ、風を受けて揺れている。


「この話が…めくるちゃんの原作だなんてね」

カウンターに“図書室へようこそ”の本を置く奈緒。


「オレ、思ったんだけど」

「ん?何?」

返事をしてくれる奈緒が横にいる。


それが嬉しい。
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