待ち受けカノジョ。
並んでイスに座り、2人で窓の外を眺める。


どこまでも広がる、真っ青な空。

小鳥が2羽、じゃれ合いながら飛んでいる。


「でもさーオレ、マジでビックリしたよ」

「なにが?」

「おばさんから電話で『奈緒が目を覚ました』って聞いて、急いで病院行ったじゃん」

「うん」

「奈緒、立ち上がってフツーに歩いてるし!」

「だって、体に戻ったら全然元気でさ。何の問題もなかったんだもん」

「まぁ、とりあえず始業式に間に合って良かったよ」

うん!と嬉しそうにうなずく奈緒。


「でもさ、ちょっと恥ずかしいんだけど…大丈夫?私。」

奈緒が短くなったスカートのすそを引っ張って、もじもじしてる。


「大丈夫だよ!かわいいって!」

「だって私、滝山くんの言う通りオシャレしただけだもん。メガネ取ったからって、顔がかわいくなるワケじゃないし。元が良くないから…」


確かに、千夏や葵に比べたら奈緒は平凡な顔つきだ。

でも、そういう問題じゃないんだよね。


うつむいて口を尖らせる奈緒を横目で見るオレは、こんな衝動にかられる。


『あーもう、チューしたろか!』
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