待ち受けカノジョ。
―――

夕方の多摩川の土手に並んで座った。


大きい夕陽のオレンジがオレと奈緒を照らす。

向こう岸の電燈がポツポツと明かりを灯し始めた。


「滝山くん」

「ん?」

「進路、決まった?」

「ああ、うん。オレ、ファッションビジネスの専門学校に行くよ。少しでも父ちゃんと友美さんの力になりたいんだ」

「そう、きっと喜んでくれるだろうね」


川の水面が夕日を受けてキラキラと輝く。


「奈緒は?」

「私は高校卒業したら、お父さんの家に引っ越すの。そこから美容師の専門に通う事にした」

「あれ?トリマーになるんじゃなかったっけ?」

奈緒が真っ赤な顔でうつむく。

「犬じゃなくて…人間の方がよくなったの」

フッと笑いがこみ上げる。


「じゃあ、将来は父ちゃんの店に就職だね!」

「ええ~?あの強烈なお父さんに付いていけるかなぁ?私…」

「ははははっ!!」

奈緒と2人で笑いあった。
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