待ち受けカノジョ。
パタン、パタパタ…


今度は成田さんの足音が小さくなるのをしっかり確認してから、バフッと布団にもぐった。

携帯の明かりがぽうっと暗闇を照らす。

「ごめん!あの看護師さんが…」


って、あれ?


寝てる。


横になって丸まってる姿…

ハムスター激似!


まぶたがうっすら赤く腫れて、まつげには涙がたまっている。

かすかにスースーという寝息も聞こえてくる。


泣き疲れちゃったのかな。

ってか、寝付くの早っ!!



そういえば。

オレ女の子の寝顔なんて見たことないなぁ。

まじまじと奈緒の顔をながめる。


ああ、この子

『メガネ取ったら意外とかわいいのに残念』パターンだ。


この形状記憶合金的な黒い髪をゆるふわにして

軽くナチュラルメイクして

花柄マキシ系の服で女子力あげたら、

フツウにモテそうなのにな――



『ウフフッ、滝山くん、見て見て』

ふるふわ女子に変身した奈緒が、花柄スカートをヒラヒラさせてニッコリ微笑む。

…オレの妄想の中で。


んっ?

こんな女の子、ストライクじゃなかったっけ?オレ。


てか、寝顔見ながらニヤニヤしてたら変態みたいじゃん!

ヤバいヤバい。

携帯をそーっと閉じた。


スヤスヤと眠る彼女に、優しく布団をかけるように。
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