待ち受けカノジョ。
午前中に受けた検査の結果。


医者から告げられた一言は

「はい、問題ナシ!」だった。


ウソだぁ~

だって今朝起きたら、携帯から「おはよう!」って声が聞こえるんだもん。

女の子が笑ってるんだもん。


絶対頭おかしいよ、オレ!

誰か早く治してぇぇぇぇ~!!



成田さんにせかされて、オレはさっさと病室を追い出された。

退院する前に奈緒の本体を確認したかったオレは、成田さんにお願いして病室まで案内してもらった。


おそるおそるドアを開ける。

「失礼します…」


目に飛び込んできたのは、人形のように横たわる奈緒の姿。

オレは…言葉を失った。


包帯がぐるぐる巻きつけられた頭。

体中につけられたチューブ。

無機質に繰り返す心電図の音。


これが、あの奈緒の体……


そう

これが現実。


改めて事の重大さに気付かされ、足がガクガクと震えだす。


「…あなたは?」


今にも床に膝をついて崩れ落ちそうなオレに声をかけてきたのは、椅子に座っていた中年の女性。

髪は乱れ、肌の色は青白く、目の下にはくまができていて、憔悴しきった顔。


奈緒のお母さんだというのはすぐに分かった。
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