待ち受けカノジョ。
店のすみっこに重なって置いてあるダンボールを開け、中を覗き込んだ。

「友美さーん、コレ片付けとくよ!」

「あー、ありがと!助かるわー!」


取り出した服は、友美さんがおとといネットの卸問屋に発注した服。

ビニールをはがし、サッサッと折りたたみ、手際よく棚に陳列していく。

オレは小学生の頃から、こうやって友美さんの店の手伝いをしてきたので、もうプロの領域だ。

そんなオレを父ちゃんは『陳列マン』と呼ぶ。


「終わったから、家帰るね」

「ありがと!昼ごはん勝手に作って食べてねー」

「はーい」

ガシャガシャとミシンの音は止まらない。


表向きには『若い女の子向けの服屋』なんだけど、実は『オーダーがあればどんな服でも作る店』ってゆーのは、知る人ぞ知ることだ。

友美さんも、それを宣伝する気はないらしい。


心をこめて完璧に服を作る友美さんの職人魂は、ホント尊敬する。


あんな人になりたい。

けど、オレには何の才能もないんだよなぁ~。


才能どころか、ちゃんと高校卒業できるかも怪しいんだから!
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