待ち受けカノジョ。

「どしたの？奈緒！」

友達の桃香が私の肩をポン！とたたいた。

「３組の滝山くんがまた逃亡した！」

むくれ顔で答える私。


「ああ、さっき廊下ダッシュしてるとこ見たよ！もしかして、デートかなぁ～？」

「えっ、滝山くん彼女いるの？」

「さぁ、知らないけどさ。でも滝山クンって学校イチのイケメンじゃん。彼女がいても当然だよ」


イケメン？アイツが？


「ただのチャラ男じゃなくて？」

「ちょ、何言ってんの！？イケメンだよ、イケメン！！」

桃香が驚いたように口をパクパクさせて言う。


「まぁ、いつも周り女の子だらけだし、チャラいっちゃーチャラいかもね」


そう。

だから私はアイツの事を密かに“チャラ王子”と呼んでいる。


「ねぇ、気をつけた方がいいよ、奈緒」

こっそりナイショ話をしてくる桃香。

「え？何が？」

「奈緒、滝山ファンのチェック入ってるよ」

「はぁっ？何ソレ！私がっ！？」


昇降口にいた全員が一斉にこっちを見た。


「バカっ！声がデカイよ！…とにかく、そーゆーことだから。じゃね」

桃香は小さく手を振りながら、そそくさと行ってしまった。