糖度∞%の愛【編集前】


この“IDDM”という言葉を聞いた男の反応は、その聞き慣れない単語に、それが病気の名前なんだと暗に察してそれに関わりたくないと逃げていくか、“それでも構わない”と言いながら注射をする私の姿や、注射痕を見て顔をしかめて、何かと理由をつけて去っていくか。

そのどちらかだった。






でも、五月女は違った。





「言えますし、どんな病気かもちゃんと知ってるつもりです」





なんの迷いもなく、真っ直ぐ私から視線を外さずにそう言った。


私は予想外の返しに、「は?」と情けなくただ唖然とすることしかできない。


こいつの前で注射をしたこともなければ、それをしられる行動を取ったつもりもない。


なのに、コイツは“IDDM”だと言っただけで、“知ってる”と答えた。


つまり“IDDM”が病名を意味する言葉ということも、それがどういう病気なのかも“知っている”ということだ。





――…どうやって知ったというのだろうか。


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