糖度∞%の愛【編集前】
その後ろ姿を見送ってからてっきり家に帰ると思ったのに彼方は私がさっきまで座っていた椅子にドカッと座る。
「食べましょう」
呆気にとられる私に一言そう言った彼方は、「どっちが俺のですか?」と言いながらも彼方は真っ先にミックス弁当の方を開けて、私の答えも待たずに箸をつけ始めた。
「……家に帰ってから食べないの?」
「だって沙織顔色悪いんですもん、早く食べて血糖値上げてください」
私のことを誰よりよく見てくれている彼方は、やっぱり私の少しの変化も見落とさないでこうやって手を差し伸べてくれる。
そんな彼方の優しさに笑みを浮かべながら彼方の真正面に座って、生姜焼き弁当に再び箸を伸ばした。
食べながら彼方が何かを言ってこないかとチラチラ見ていても、彼方は黙々とお弁当を平らげていて、すでにその中身は残りわずかだ。
「早く食べてください。 帰ったら尋問です」