糖度∞%の愛【編集前】
一気に室内は緊張一色に染まる。
机を挟んで男女が身体を硬直させて向き合ってるんだから、傍から見たら異様な光景に違いない。
心臓がドキドキを通りこして、バクバクと鼓動して口から出てきそう。
こんな緊張を彼方はずっとしていたんだと思うと、それを可愛いと余裕で見ていた自分がとても無神経に想える。
「沙織さん」
いままで一度も口を開かなかった彼方が、よりによって私が緊張のピークの時に口火を切った。
今では呼び捨てで呼んでいるのに、“さん”を付けられたことによって更に緊張感が増してしまう。
とりあえず落としていた視線を彼方へと上げると、真っ直ぐに私を見つめる二つの瞳と視線がぶつかる。
「好きです。 沙織さんのことを、心から」
最初に告白してきたときの台詞によく似た言葉を紡ぐ彼方。
返事も相槌も打たずにただ口を引き結んで彼方を見つめる私に構わず、彼方は続ける。
「付き合っていく中でまだまだ知らない沙織さんを知っていくことが嬉しくて、この先それを知っていけるの特権を俺だけのものにしたいんです」