糖度∞%の愛【編集前】
さっきまで水だけを飲んでいた人と同一人物には思えないほど、彼方は緊張の欠片も見受けられないくらい堂々と、そして真摯に私を見据えて言葉をくれる。
「これから先喧嘩をするかもしれないけれど、それでも俺は沙織さんのそばを離れたくないし、沙織さんにも隣にずっといて欲しい」
一瞬たりとも逸らされることなくまっすぐ射すくめるような視線に、緊張とは別の意味で鼓動が速くなる。
「辛い時には支えになりたいし、悲しいことは分け合って、嬉しいことは二人で喜んで、楽しいことも二人で感じて、沙織さんが帰る場所が俺のところであって欲しいし俺の帰る場所に沙織さんにいて欲しい」
いつだって言葉を飾ることなく、本当のことをありのままに伝えてくれる彼方。
馬鹿みたいにまっすぐに私のことを知ろうとしてくれて、私以上に私のことを知っているかもしれない彼方。
「沙織さん」
年下なのに、全然そうは見えないくらい大人びていて。
仕事もスマートに何でもこなしてしまうくらい能力があって。
容姿も、私が今まで付き合ってきた人の中で群を抜いて整っていて。
そんな彼方の瞳の中に映るのは私だけだ。