糖度∞%の愛【編集前】
私の言葉を聞くなり、ガタンと椅子を倒しながら勢いよく立ち上がった彼方は、瞬間移動でもしたんじゃないかってくらいの速さで私のところに駆け寄って、有無を言わせずに痛いくらいに強く私を抱きしめた。
「絶対俺と沙織さんなら世界一幸せな家族になれる」
「……世界一?」
「宇宙一かもしれない」
言いながらクスクスと私の耳元で笑う彼方の声は少し掠れていて、首筋には少しだけ湿った感触。
それがなんなのか分かっているけど、私も同じような状態だったから敢えて指摘せずに彼方の背中に回した腕に力を込める。
きっと、今人生で一番幸せだ。
でも、彼方と結婚して、ずっと一緒に生きていけば今の幸せ以上の幸せを感じることが出来る、と根拠のない予感がある。
まるで、彼方に告白されたときに絶対にコイツにハマって抜け出せなくなるって根拠のない予感があった時と同じ。
その予感は現実になったから、今度もきっと当たるだろう。
「よし、このままお義父さんのところに報告に行きましょう!」
「え!? 今から!?」
「幸いにもまだ遅い時間じゃありませんし、善は急げです」
「……急ぎ過ぎでしょう」
(これから先も、ずっと隣であなたの笑顔を見ていたい。)
(ずっと隣にいる約束をした日)
(なによりも幸せを感じた日)