糖度∞%の愛【編集前】
あとがき。
まずはじめに、最後のこのページまでこの物語を読んでいただきありがとうございました。
正直に申しますと、この物語は沙織という女の子を書きたかったというより、IDDMという病気のことを少しでも多くの人に知ってもらいたくて書いた物語でもあります。
軽い気持ちでこの病気を題材に選んだわけではありません。
私の娘は沙織より早い1歳1か月でこの病気を発症しました。
娘の場合、多飲·多尿·発熱で小児科にかかり、風邪と診断され解熱剤を挿入しても熱が下がらず、明け方ぐったりしてきたので救急病院に駆け込み、採血をしてこの病気だと診断されました。
後から知ったことですが、娘はその時“ケトアシドーシス”という高血糖による合併症を引き起こしていて、一歩遅ければ命が危なかったそうです。
この病気は原因が未だ分かっておらず、10万人に1.5人の発症率だそうです。
産まれた時から発症している場合もあれば、娘のように乳児期に発症する場合もあって、ある日突然発症します。
今現在、治療としてはインスリンを一生打ち続けるしかありません。
IDDMは正式に言えば“Ⅰ型糖尿病”で、物語の中でも書きましたが“糖尿病”とつくためにいわゆる世間に知られている“成人病”“贅沢病”と呼ばれる“Ⅱ型糖尿病”と間違われることがしばしばです。
でも贅沢したわけでも甘いもの食べすぎたわけでも、なんでもないんです。
普通にものを食べて摂取する糖分を分解するインスリンがすい臓の中にないから、身体の中に糖が溜まっていってしまうのです。
だから炭水化物を摂った時にはその糖分を分解するインスリンを注射するしかないんです。