糖度∞%の愛【編集前】



目の前には、今時珍しい少し長めの黒髪を軽く後ろに流し、ノンフレーム眼鏡をかけた仕事でよく見る男がいる。




たった今、資料を探している途中で告白のお決まりともいえる“好きなんです。付き合ってください”と言われたばかり。



でも、お決まりとちょっと違ったのが、付き合っての前に“結婚を前提に”という言葉がついてきたことくらいだろうか。




確かに私は26で、今から付き合うってなるとその相手を結婚相手に考える時期に来ているのかもしれないけど。

目の前の“五月女 彼方(さおとめ かなた)”は24で、結婚を考えるのにはまだ早いんじゃないかと、いらない老婆心が湧いてしまう。


それにこの男が新入社員として入社したころから教育係としてみてきた私は、コイツがいかに仕事が出来るのかを身をもって知っているだけに、相手に私を選んだのはどうかしてるんじゃないの、と言いたくなる。



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