糖度∞%の愛【編集前】
切迫した様子の彼方を見て、思わず自分の現状を吐露しそうになったとき、
「年上の意地とか言ってる場合じゃないでしょう!? そこは素直に俺を頼るべきでしょうが!」
続いた言葉に唖然とした。
……真帆め、しゃべったな。
「や、これは女の戦いっていうか、なんていうか、……ねぇ?」
あはは、とから笑いでごまかしてみるけど、やっぱり彼方の顔はしかめられたままだった。
「俺の気持ちも考えてください」
「うん、考えたけどここで彼方に出てこられても火に油を注ぐっていうか……」
「それでも、俺は半端な気持ちであなたと付き合ってるわけじゃないんです」
連ねられる言葉たちには返せないほどの愛がたくさん詰まっていて、なんだか堪らなくなって目の前の彼方にぎゅっと抱きついた。
彼方のコートに顔をうずめながら、「ごめん」とぐもった声で呟く。
「俺は会社の同僚の冷やかしとかそんなことより、沙織さんを守ることを優先します」
「っ、」
「見ててください、明日です。 明日の午後にはもうそんないたずらはなくなります」
「……なにするの?」
「俺を頼ってくれなかった沙織さんには教えません」
ぎゅっと戒めのように苦しいくらい抱きしめられた。
でもそれは“何も心配しなくて大丈夫”と言われてるみたいで、思わず笑みがこぼれた。