糖度∞%の愛【編集前】
でも、いつもと少し違うだけの私の変化も見逃さない彼方は、苦しいくらいに締め付けて「なにかありました?」と耳元で囁く。
「っ、」
思わず声が漏れそうになって唇を噛んで堪えているのに、腰に回っていたはずの両手が、いつの間にか片手だけが首筋に伸びて、触れるか触れないか微妙なタッチでつぅと撫で下される。
「沙織さん、変ですよ?」
「……変じゃない」
ゾクゾクする感覚をこらえながら、なんとか机の上に出しっぱなしだった器具をしまい終えて、彼方の腕の中から抜け出そうと試みるけれど、私を捕らえているのは片手だけだというのにピクリともしない。
「変です。 視線をなかなか合わせてくれないし、そっけないです。 俺、何かしました?」
今度は顎をグッと持ち上げられて、上から覗き込む彼方の瞳と無理やり合わせられた。
逆さまに覗き込むその姿でさえ綺麗なんて、悔しい。
彼方が綺麗なのも優秀なのも、知っているけど。 だからこそ女の子にモテているのは知っているけど。