糖度∞%の愛【編集前】
見知らぬ女の子に腕を組まれていても嫌がるそぶりを見せることなく食堂へ入ってきた彼方。
そんなことすら許せない私は、そうとう重い女なんだろう。
それでも、必要最低限以外、ほかの女の子と接触してほしくないと思うのは、だめなことなんだろうか。
そんな思いを込めて逆さまな彼方を見つめていたけど、もちろん伝わることなんてなくて「言ってください」と言葉を催促されてしまう。
でもそんなかっこ悪いことなんて言えなくて、ただ私は腕を上に伸ばして彼方の後頭部に回して引き寄せ、すごくやりにくかったけどなんとか唇同士を合わせることに成功した。
ねぇ、キスできるのは私だけ、でしょう?
私以外にキスしてる人、いないよね?
そんなこと聞けなくて、でも心の真ん中にいる彼方を手放すことは出来なくて。
一人吐き出せないでいる悩みを彼方に伝えることなく抱えている私は、やっぱり恋愛経験が乏しすぎるのだろう。
真帆だったらこんな独占欲の塊みたいな悩みを何でもない事のように解決して、尚且つ二人の関係をもっと深くすることができるのだろうか。
「沙織さん、誤魔化さないで、ちゃんと言ってください」
困ったような嬉しそうな複雑な感情が入り混じったような顔でそう言う彼方に、私はただ微笑むことしかできなかった。