糖度∞%の愛【編集前】

今までの彼が他の子と話していても、頭を撫でていても、“仲いいんだな”くらいにしか思わなかったのに。




彼方は違う。



他の子と話さないでほしい。

他の子に触れないでほしい。

そんな醜い独占欲でいっぱいで、淡白でなんていられなくて。



これがきっと、本気の恋をしているってことなんだろう。


そう考えると、好きでもないのに付き合っていた昔の私は、相手に対して相当ひどいことをしていた。

向けられる“好き”という感情にまっすぐにぶつからないでいた。

別れを告げられるのは病気のせいだと思っていたけれど、病気が全てじゃなかったのかもしれない。



“好き”という感情が私に伝わらないことが、嫌だったのかもしれない。


今となってはその真相は分からないけど、自分が“本当の恋”をして初めて、過去の相手の気持ちが分かるなんて、最低だ。


だからきっと彼方もこんな私に……、



「おーい」


ぼぅっと考え込んでいた私を呼び戻すかのような呼びかけに、ハッと意識を戻せば目の前でヒラヒラと綺麗な手が上下に振られていた。

結構な時間自分の世界に入っていたようだ。
< 62 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop