糖度∞%の愛【編集前】
「ま、もっとこじれればもっと楽しい事が起こるんだろうけど?」
そうやっておちゃらけながらも、そうなる前にちゃんとこうして背中を押してくれる、この分かりにくい親友の優しさを無駄にすることはできない。
私は紙コップに残ったお茶を一気に喉に流し込んで、大きく息を吐いた。
そして、携帯を取り出して最近呼び出していなかった名前をアドレス帳から呼び出す。
「いよいよ決着つける決心ついたの?」
「…おかげさまで」
言いながらも指が震えるのは隠せない。
それに気づいていながらも「さすが沙織」と言ってくれる真帆は、本当に優しい。
震える指でボタンを押して、携帯を耳にあてた。
耳から聞こえる呼び出し音。
ドクドクという音が、まるで心臓が耳についてるみたいに、大きく身体に響き渡る。
真帆も私が誰にかけているのかわかっているのだろう、コーヒーを飲みながら気を利かせて部署内をそっと出ていくのが視界の隅に入った。
それに心の中でありがとうと言って、コール音が途切れるのを待つ。