糖度∞%の愛【編集前】


とりあえず、彼方に会わなくちゃいけない。

どんな結果があろうとも、会って話して、すべてを知らなくちゃいけない。

そう心に決めたとき、コール音が途切れて『はい』という声が聞こえた瞬間、さっきまで緊張のせいで熱かった身体が一気に血を抜かれたかのように冷えた。



『もしもし? 美崎さん、ですよね?』


聞こえてきたのは彼方の声じゃなくて、甘ったるい、女の声。 受付嬢だけあって、とても可愛い声だ。

思わぬ展開、ううん、あってほしくないと一番思っていた展開に、とっさに声が出てこない。


『彼方君、今シャワー浴びてるんです。 折り返し電話させましょうか?』


そのことばが本当なのかは分からない。

本当に浴びてるのかもしれないし、彼女の嘘かもしれない。

ただ、“させましょうか?”といういかにも私の方が彼方に近い存在なんだ、と誇示するような彼女のセリフに何も言葉がでない。


『真田、それ俺の携帯……』


それでも電話の向こうから聞こえてきたのは、まぎれもない彼方の声。
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