糖度∞%の愛【編集前】
ふぅ、と机に伏せたまま息を吐いて、顔を上げる。
軽い低血糖症状が改善されたとはいえ、これはもうご飯を食べないとダメだと判断した。
「真帆、ご飯食べ行こう」
「え、うん。 そりゃいいけどでもまだ……」
何故か言葉を濁す彼女に「まだ仕事残ってるの?」と聞いても「違うんだけど……」と煮え切らない返事。
いつもズバズバ物事を言う真帆にしては珍しい。
そしてその理由は向こうから飛び込んできた。
「沙織さん!」
静かなオフィスに響く場違いなくらい大きな声。
それは私が散々避け続けた人の声であり、今まさにこの状態を作りだした原因でもある人。
真帆は、彼方がここにくるからこそさっき食事に行こうと言った私に答えを渋っていたんだと、瞬時に理解した。