糖度∞%の愛【編集前】


私はこの病気と24年間ずっと一緒に付き合ってきた。


2歳で発症した私は、物心ついたときには注射をすることが当たり前だったから、幼稚園に行って初めて自分以外の人が注射をしていない事実に混乱したこともある。


今ではこれも私の一部だと受け入れて、もう差別や偏見の目も気にならないくらいに開き直ってはいるけど、私のこの病気を知っているのは家族と真帆、中学高校大学時代の気のおける友人数人と上司だけしかいない。



この病気は“糖尿病”って名前がつくだけで、就職するときにネックになる。

ほぼ内定が決まったところでも、健康診断の結果を見た途端に“不採用”の通知が来るのだ。


でも今の会社は違った。

血液検査で異常があって呼び出されて、どんな病気なのか私からの説明を求めた上で、“弊社は身体ではなく能力のある人材を受け入れます”とその場で採用を貰ったのだ。


正直、名の通った有名な会社がこんな対応をしてくれるとは思わなかったから、私には嬉しい誤算だった。


そしてそんな会社に出逢えた私は、すごく幸運なんだと思う。

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