糖度∞％の愛【編集前】

「話をさせてください」

「どうぞ、ご自由に」


そう嘯きながらも、いったいどういう理由であんなことをしていたのか知りたいのも事実。

でもどこまでも素直になれない私は、たこわさを口に入れてさも関係ないとばかりにそれを噛み砕く。


私の言葉に、顔を曇らせながらも彼方は「あの子は……」と話し出して、それを聞いた真帆が「“あの子”ねぇ？」と突っかかる。

確かに捉えようによっては、親密な関係であるかのように聞こえる。

その真帆の指摘に一瞬たじろいだ彼方は、それでもそれを直すことなく言葉を続けた。

直したら余計に親密だということを疑われると、判断したんだろう。

その判断は正解だ。　真帆も今度は突っかからずに、私のたこわさを横から取っていく。


「沙織のことをくぎ指しているときに、不可抗力で怪我させました。　　仕様がなく怪我が治るまで世話みたいなものをしてたんです」

「世話？　それはゴクローサマでした。　それじゃあサヨウナラ」


彼方から明かされた事実は、拍子抜けするほど呆れた理由で、どうしてそんな理由すら私に言えなかったのか不思議でならない。