糖度∞%の愛【編集前】
そんな理由で、私たちがここまでこじれていたんだと思うと馬鹿らしくて、考えるよりも先に口が動く。
「でも今日ちゃんとケリつけました」
「ずいぶん遅い決着ね」
「それは弁解の余地がありません。 ただ自分のプライドを守りたくて沙織さんに何も言えなかった自分が悪いのは十分わかってます」
「そうね、そのプライドのおかげで随分辛い思いをさせていただいたわ、ありがとう」
淡々と言葉を連ねれば、彼方は言葉を飲み込んで、ここにきて初めて私から視線を反らして俯いた。
馬鹿ね、そこで視線を反らさないでまっすぐ私に謝れば、許したのに。
どうして彼方は私の意地っ張りで素直に許せないでいるのを見ぬいてくれないのだろう。
……真帆はもう私の本心を見抜いていてたこわさを口に入れながら笑いを堪えているというのに。
「沙織……」
「なんですか、五月女君」
「もう、彼方とは呼んでくれないんですか」
「どうかしらね」