糖度∞%の愛【編集前】



どうして俯いたままなのよ。


今私は彼方を見てるの。

彼方が視線を上げれば、ちゃんと私と視線が合うのに。



それなのに彼方は俯いたままだ。


普段は見ることのできない彼方のつむじを見つめていると、そのつむじめがけて拳を振り落したくなる。



そんな考えもお見通しな真帆は、隣でジェスチャーで“行け行け!”とばかりにパンチをしている。


この喧嘩とも言えない不思議な冷戦状態を止めるのは、やっぱり私も素直にならなくちゃいけない。

なんて言ったって、彼方が説明しようとしたときに避けたという負い目もあるし、何よりなんだかんだ言っても私はもう彼方を許しているんだから。


だから私は素直に、真帆のジェスチャーに後押しされるように手のひらを彼方のつむじめがけて振り落した。


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