scar-傷痕-




「…おはよう、ゴザイマス」


翌日。


「なんだその堅苦しい態度は」

「イエ、ナンデモ…」

「…」


酔い特有の気持ち悪さに翻弄されながらも、目が覚めるまで悪夢を見ずに済んだあたし。
意識がハッキリした今色々な後悔に襲われていた。
神田さんの顔がまともに見られない。


ばさっ


「ぶっ!?」

「とりあえずシャワーでも浴びてこい。酒くせぇ」


顔面に放り投げられたのは昨日の夜あたしが着ていた服一式。
一気に顔を赤くしたあたしは返事もせずにシャワールームへ逃走した。


(なんであたしこんな格好してるの!?)


脱衣所に着いた瞬間、あたしは床にヘタり込んだ。
恥ずかしさのあまり瞳にはうっすら涙が滲んでいる。

腕の中に抱えているのは洗濯されていて洗剤のいい匂いがする自分の服。
その代わりに今のあたしが着ている服は…。


紺色の大きなパジャマ。
男物。


これが誰のか、答えは一つしかない。
ならば誰が着せてくれたのか、それも答えは決まっている。


(だけど、でもっ)


これだけは予想していなかった。


(下着まで取る必要はっ…!)


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