scar-傷痕-
「お母さん違う、親切な友達が送ってくれただけなの!」
「誰よそれ!親切な友達って!!」
ぐいっ
あたしを更に引っ張って、お母さんは爪を頬に食い込ませた。
乱暴に触れられた場所にフラッシュバックが起こる。
昨日の夜の優しい手つきが蘇って固まる。
「…っ、去年バイトでお世話になった先輩だよ」
慌てて嘘をついたあたしの心の動揺をお母さんは見逃さなかった。
「男でしょう」
「ちがっ…」
「お前もあの人みたいにあたしを捨てるのか!あたしがいない間に男をたぶらかしていたんだろ!!」
あまりの力強さに足が縺れて二人してベットに倒れ込んだ。
お母さんの冷たい両手があたしの首にかかっていた。