scar-傷痕-
1章
深夜のトラブル
――カランカラン
「いらっしゃいませ。二名様ご来店でーす!」
夜の帳は大人の時間。
きらびやかな装飾が施された店内で華やかなドレスを着た女の子達が男たちを持て成している。
ここはキャバクラ。
あたしは今夜限りのお手伝いさん。
昔バイトでお世話になった先輩にどうしても人手が足りないからと頼み込まれてのことだった。
ちなみに年齢は詐称している。
「愛里ちゃん!ヘルプお願い」
「あ、はーい」
源氏名で呼ばれたあたしは先輩の後について出て行った。
お酒を飲んだことがないから少し不安は残るけど、借りたワインレッドのドレスは気に入っている。