scar-傷痕-
2章
再会
誰かの温もりが欲しいなんて、恋しいなんて、馬鹿げてる。
あたしにはもう誰かに愛される資格なんてないのに。
「おはよう優奈!久しぶり」
「おはよう美希、約40日ぶりだね」
「ぷっ。40日ぶりって、リアル〜」
お母さんが退院して二週間。
長いようで短かった夏休みが終わった。
桜庭高校2年5組。
同じクラスの美希と一緒に教室へ向かう。
彼女は夏休みを満喫したらしく、程よく肌が焼けていた。
「そういえば知ってる?田中、駅の階段から落ちて大怪我したんだって」
「まじ?」
担任の思わぬ不幸に目を丸くする。
「うん。両足骨折の腰強打で暫く学校来れないらしいよ」
「ふーん」
それは災難だ。
このクラスには担任の代わりに1年生の先生が来るらしい。