scar-傷痕-
「ハッたいした奴だな。教師を脅すつもりか?だが生憎俺はそんなの気にしたりしねぇ。問題になったとしても、」
「理事長でしょ」
「…お前」
「先生はそうでも理事長はどうでしょう。聞いたことあるの、この学校の理事長の特徴」
場の空気に相応しくないから口にはしないけど『ゴリラ顔』だって皆言ってた。
「小波さんなんでしょ?」
「テメェ…」
あたしの言いたいことを理解した神田先生が睨み付けてくる。
鋭い瞳で射殺すみたいに。
「いい加減にしろよ…!」
ガッ
「あ、」
そしてとうとう堪忍袋の緒が切れた先生の手が、あたしの腕を乱暴に掴んだ。
その拍子に袖がめくれて
「なんだ、それ」
「…っ!」
現れたのは赤黒い痣。
慌てて袖を伸ばす。
見られたくないものを見られてしまった。