scar-傷痕-
黒衣の天使
『…アンタさえ』
暗い、闇。
なにも見えない場所。
そこに響く声。
『アンタさえ、ままのお腹に入ってこなければ…』
憎しみと悲しみに囚われたお母さんの冷たい声。
汚いものを見る視線。
やめて。
やめてお母さん。
イタイ、イタイよ。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
わかってるよ。
いらないんだよね。
欲しくなかったんだよね。
いくら謝っても泣きわめいてもこの激情は消えなくて。
あたしはいつだって言う気のない、言ってはいけない言葉を胸の中に押し込んでいる。
宙に放った瞬間今までの全てが無に還る、そんな言葉を。
「――おい!」