scar-傷痕-
ああ、そうか。
あたしさっき倒れたんだ。
小波さんの気持ち悪いのが伝染して。
「ここ、神田さんのお家?」
「そうだ。…なんだよ、道端に放置された方が良かったか?」
彼はどこか決まり悪そうに言い放つ。
仕方のない事態だったのに、夜中にあたしを家にあげたことを気にしているんだろうか。
真面目だなぁ。
「…ありがとう」
「別に。もう遅いから今日はそのまま寝ろ」
「でも、いいんですか?」
「ウルサイ。好きでそうしてるんじゃねェ。けどお前まだ具合悪いんだろ?」
うん。
実はまだ気持ち悪い。
たぶん相当酷い顔をしているあたしの額に触れて、神田さんは溜息をつく。
汗ばんでるからあんまり触られたくないけど心地いい。
「お酒飲んだの初めてだったから」
「は!?」
よくそんなんでキャバクラのヘルプに入ったな、と呆れられて、確かにそうだと苦笑した。