太陽の花が咲く季節
~プロローグ~
君と一緒にここで出会って


君と一緒にここで笑って


君と一緒にここで泣いて


君との思い出は、咲き誇るひまわりと同じくらいある。


丘一面に咲く、黄色い太陽の花。


あたしも君も大好きな、生き生きとした太陽の花。


あたしはここで君と出会って、君と生きてきた。そう、幼なじみとして。


"ぼく、おおきくなったらひなたとけっこんする!ひなたをしあわせにするんだ!"


"じゃああたしは、そらのおよめさんになる!"


どこで覚えてきたのか、恥ずかしい約束を舌足らずな声で交わした記憶。


遠い遠い、幼いときの記憶。


「……」


あたしが触れようとした黄色い花びらは、鮮やかに舞って飛んでいってしまった。


垣間見える青い空を見て、あたしはぽつりとつぶやいた。


「空……」


あたしの幼なじみで、大切な人。今は、もういないけど。


現実を無理矢理受け入れながら、今を生きている。


それは、とても辛いこと。


でも、あたしは死んだりできない。


だって……


「約束したもんね。あんたの分まで生きるって。」


あたしは笑顔でそう言った。


ひまわりが、嬉しそうにゆらゆらと揺れた。
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