【短編】好きだよん
「今日、会ったばっかじゃん」



「うん。でも、先パイ、可愛かったから。話したくなったんだ」







可愛い?







普通にサラッとそうゆうこと言う?






顔が赤くなるのが分かった。



「先パイ、顔赤いよ」


あゆたは顔を覗き込んだ。



「あゆたくんが、変なこと言うからでしょ」


私は顔を逸らした。



「俺、なんか変なこと言いましたっけ?」



「もういい」


私は早歩きで歩き出した。



「待って下さいよ。先パイ」


あゆたは後ろをついてくる。







何なのよ、この子は。








「先パイ」



「もう、何よ」


私は後ろを振り返った。



「歩くの速いです。もっと、ゆっくりいきましょうよ」


あゆたは、すごく落ち着いている。私は歩くスピードを弱めた。



「先パイ」


「今度は何?」



「あゆたって呼んで下さい」



「はぁ?」


あゆたはニコニコしている。



「分かったよ。後さ、敬語使わなくていいよ。なんか、変な感じだから」


私は言った。



「オッケーだよん。じゃ、これからもよろしく」


あゆたは私に向かって、ピースをした。



「ピースしなくていいから」


私は溜め息をついた。







一緒にいると、疲れる。











< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop