超我が儘ツンデレ姫の甘ーいカクテル ~恋の酔い方マニュアル~
カーテンから漏れる太陽の光で目を覚ます。
枕元に置いてある携帯を手に取り、肌寒さを感じながらリビングに向かう。
ドアを開けると同時に鼻を掠める珈琲の匂い。

「おはよ、薺ちゃん」
「どうやって入った」

アタシ専用のハートのマグカップを手に取り、慣れた手付きでカフェオレを作る。

「はい、どーぞ。相馬君特製カフェオレとカツサンドです」
「だから、どうやって入った」

淹れ立てのカフェオレに口を付ける。
程良い甘さが脳内に行き渡り、冷えた身体を暖める。

「不用心だよね、ホント。女の子の一人暮らしなのに玄関の鍵開けっ放しなんて」
「開けっ放し…」
「俺じゃなかったら襲われてるか刺されてたね」

アタシの隣に座り、説教的な事をする男の子は本多相馬(ホンダ ソウマ)18歳。
高校の後輩で、カフェの店員をしている。
偶に家に来て、食事の用意もしてくれたりする可愛い弟。

「これからは、気を付けます」

頭を下げれば、頭部に微かな重みを感じた。
躊躇いがちに視線を向ければ、笑顔の相馬と目が合う。

「可愛いよね、薺ちゃんは」
「…、へっ」

これまた、素っ頓狂な声。

「ほら、カフェオレ冷めるよ?カツサンドも食べて食べて!」
「う、ん。ありがと」

人肌に冷めたカフェオレは、甘みを増していた。


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