一生の傷。




「なんなのお前、」

やっぱりキレてる。

私は黙った。

「俺がなんかしたか聞いとらよ」

大輔はキレたら方言がでるので

余計に怖かった。

「……別れたいから、」

理由にならない理由を口にした私。

「意味わからんし」

「うん。別れたいから別れよ」

自分でも意味がわからなかった、

でも本当の理由なんて言えない。

もし言ったとしたら、

大輔が宏斗さんになにかするかもしれない
そんな事を考えると言えない。

「もうよか
 お前俺を裏切るんだな」

“裏切る”と言う言葉が胸に突き刺さった
「うん、ごめんなさい」

私は謝った。

「もういいよ。でもお前は俺の妹だから  なんかあったらいつでも頼れよ」

そう言われた。

あまり意味がわからなかったが

「うん」

とだけ、答えて電話を切った。




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