Tenjin graduation
校舎二階から三階の踊り場。

功刀が卒業制作に描いた油絵が展示されている。

雲海の中、雄々しく天を貫くように飛翔する昇り龍。

見るものを圧倒せずにはいられない、迫力ある構図だ。

その絵の前に、一人の少年が佇んでいた。

そんな彼の頭を。

「あいてっ!」

功刀は大きな手で鷲掴みにする。

「何だおめぇ、分かった風な顔して見てやがるが、芸術なんて理解できんのか?あぁ?」

グリグリと頭を捏ね繰り回すと。

「っせぇな功刀ぃっ、触んじゃねぇよてめぇぇ」

少年…丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)は迷惑そうに顔を顰めた。

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