蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜城への道〜‡

城が近くなっていく。
昔のそれとは違う白い石造りの壁。
城壁は一回り小さく、ぐるりと囲まれた城も他国に似た大きさに収まっている。
無駄に広く、高く造られていた昔とは違う。
更に違うのは、纏う空気。
城を注意深く見れば、瘴気がまた薄く漂ってきているのがわかる。

「いくら浄化しても意味がなさそうだな…。
城の中のやつらは大丈夫なのか?」
「どんな城にも必ず土地の神が加護を与えているから、城の中は問題ないのよ」

まだ全体像が見える程の距離。
この辺りには瘴気を感じないが、後五分も歩けば、城を見上げる事になる。
そうなる頃には瘴気の気配も強く感じるようになるだろう。

《『…またいけ好かないのが来るようだぞ』》
「また貴族〜★」

目に痛い黄色と橙のコントラスト。
十貴族の一つ、昔と変わらない制服。

「そこの者ッ止まれッ。
貴様らはこの国の者ではないなっ。
我らは十貴族、”カヴール候爵”麾下、太陽騎士団ッ。
我が国、この首都への入都は現在、十貴族縁の者か、許可を得た者しか許されておらんッ。
本来ならば不法入都にて即刻牢へと繋ぐが、畏れ多くも候爵が貴様らをお召しであるッ。
よってっ、今より貴様らを拘束するッ。
抵抗は許さん、大人しくしてもらおう」
「……長い口上だったな…行くか」
「ええ◎
義理は果たしたわ☆」
「…何の義理です…?」
《『分からんか、姫?
名乗りや口上の途中では口や手を出してはいかんのだ。
お約束と言うのだぞ』》
「成る程、そうですね。
では、この後は…」
「無視だ無視。
構うな」
《『姫は我の隣に居れば良い』》
「はい」
「っおっ俺の隣にしろッ」
「あら☆
デュカが居てくれて良かったわ◎
ようやく前向きな発言をっ…ん〜ん違うわね☆
ようやく大人への一歩ねっ◎」
《『ふむ、なかなかの強敵と見た。
我もうかうかできん。
姫よ、いざとなったら我が守る故、安心されよ』》
「ッッなっ何なんだよっさっきから…ッ。
くそっリュスナッ、頼るなら師匠である俺を頼れよっ」
「???デュカもラダも、私は大丈夫ですよ?」
「う〜ん☆
ステキにフライングね〜ぇ◎
リュスナ、貴女はこのままで良いわ☆」
「?はい??」
「……」
《『……』》
「ッ…貴様らっ…我らを愚弄するかッッ」
「やぁね、あんた逹なんて初めから相手にする気ないわよ☆
とっととお家にお帰りなさい、坊や逹☆」
「ッッ…なっ」


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