蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜まっすぐに〜‡
城へと駆ける。
隣にはナーリス。
そして、デュカ。
「リュスナ、ここに来た本来の目的、覚えてる?」
「?はい…腕輪の力で瘴穴を封じるのでしょ?
覚えていますよ」
「うん。
でも、今のままじゃダメなの。
石がないと本来の力を出せないわ」
「っ三つの石…ッ。
でもどこに?
確か城にあると言っていましたよね?」
「ええ…この場所にあるわ」
「一体何処に?」
《『土地神の仕業だな。
感じるが、一枚壁があるようだ』》
「そうよ。
力が弱まった石達は、土地神に頼んで次元の狭間に逃げ込んだの。
私が今からそれを何とかこちら側へ引っ張るわ。
そこで、デュカ。
術の発動中の私の護衛を頼むわ。
そろそろ魔獣が出てくる。
あんたなら、何とかできるわよね?」
《『む…それはそうだが…それなりに広い場所でなければ難しいぞ…』》
「わかってる☆
あっちに良い広間がありそうだから、大丈夫よ◎」
《『だが、姫はどうする』》
「うん、だからリュスナ、貴女一人であの子達を迎えに行って。
大丈夫、貴女ならやれるわ」
「…っはい」
「じゃぁ行くわよっ。
デュカっ」
《『…我はお主の使い魔ではないのだが…よかろう、行くぞっ』》
一息に元の大きさに戻ったデュカは、勢いをつけ、目前に迫った大きな城の扉を蹴破った。
《『では姫よ、油断するでないぞ』》
「じゃぁ、リュスナ気をつけて」
「はい、そちらも無理をなさらずに」
そう応え、左右に分かれ走り出す。
感じる…三つの闇を…。
迷わず走り続ける。
一つはまっすぐこの先。
一つは二階の突き当たり。
そして残りの一つは中央。
《《《グルラァァっ》》》
突然行く手を立ちふさがるように、降って湧いたのは、小さな狼のような魔獣だった。
ような…とは、似て非なる姿をしていたからだ。
正面から見れば普通の狼と変わらない。
だが、その胴体の側面には羽のように二つ口が突き出していた。
《《《グルラァァぁ!!》》》
「ッくっ…っ」
一つ飛びで軽く三メートルほどを越えてくる速度に驚く。
だが、判断は早かった。
〔ゼスラ・リグス〕
剣に強化の魔術をかけ、飛び掛かってきた一匹の胴を抜き放った剣ですれ違いざまに薙ぐ。
返しざま、身体をひねり次の一体を側面から縦に割る。
さらに加速して三体目を横一線に薙ぎはらった。
〔ゼスラ・バースト〕
前に突きだした手の前に唱えた術の魔法円が展開され、幾つもの蒼白い炎の玉が残りの魔獣を焼き尽くす。
後ろは振り返らない。
燻る炎を横目に、迷わずまっすぐ走り抜けた。
城へと駆ける。
隣にはナーリス。
そして、デュカ。
「リュスナ、ここに来た本来の目的、覚えてる?」
「?はい…腕輪の力で瘴穴を封じるのでしょ?
覚えていますよ」
「うん。
でも、今のままじゃダメなの。
石がないと本来の力を出せないわ」
「っ三つの石…ッ。
でもどこに?
確か城にあると言っていましたよね?」
「ええ…この場所にあるわ」
「一体何処に?」
《『土地神の仕業だな。
感じるが、一枚壁があるようだ』》
「そうよ。
力が弱まった石達は、土地神に頼んで次元の狭間に逃げ込んだの。
私が今からそれを何とかこちら側へ引っ張るわ。
そこで、デュカ。
術の発動中の私の護衛を頼むわ。
そろそろ魔獣が出てくる。
あんたなら、何とかできるわよね?」
《『む…それはそうだが…それなりに広い場所でなければ難しいぞ…』》
「わかってる☆
あっちに良い広間がありそうだから、大丈夫よ◎」
《『だが、姫はどうする』》
「うん、だからリュスナ、貴女一人であの子達を迎えに行って。
大丈夫、貴女ならやれるわ」
「…っはい」
「じゃぁ行くわよっ。
デュカっ」
《『…我はお主の使い魔ではないのだが…よかろう、行くぞっ』》
一息に元の大きさに戻ったデュカは、勢いをつけ、目前に迫った大きな城の扉を蹴破った。
《『では姫よ、油断するでないぞ』》
「じゃぁ、リュスナ気をつけて」
「はい、そちらも無理をなさらずに」
そう応え、左右に分かれ走り出す。
感じる…三つの闇を…。
迷わず走り続ける。
一つはまっすぐこの先。
一つは二階の突き当たり。
そして残りの一つは中央。
《《《グルラァァっ》》》
突然行く手を立ちふさがるように、降って湧いたのは、小さな狼のような魔獣だった。
ような…とは、似て非なる姿をしていたからだ。
正面から見れば普通の狼と変わらない。
だが、その胴体の側面には羽のように二つ口が突き出していた。
《《《グルラァァぁ!!》》》
「ッくっ…っ」
一つ飛びで軽く三メートルほどを越えてくる速度に驚く。
だが、判断は早かった。
〔ゼスラ・リグス〕
剣に強化の魔術をかけ、飛び掛かってきた一匹の胴を抜き放った剣ですれ違いざまに薙ぐ。
返しざま、身体をひねり次の一体を側面から縦に割る。
さらに加速して三体目を横一線に薙ぎはらった。
〔ゼスラ・バースト〕
前に突きだした手の前に唱えた術の魔法円が展開され、幾つもの蒼白い炎の玉が残りの魔獣を焼き尽くす。
後ろは振り返らない。
燻る炎を横目に、迷わずまっすぐ走り抜けた。