蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜始めの日記〜‡
―カルナ歴21年1水ノ月3日―
この国はもうだめだろう…。
今日、王はまた税を上げられた。
先の戦が終わったばかりだ。
民達は飢え、安心して眠る事もできないでいる。
次代をとも思うが、皇子・皇女はどなたも気が弱く身体も弱い。
産まれたばかりの双子の皇子と皇女は問題外だ。
唯一の希望は、第三皇女のリュスナ様だ。
だがあの方は何をお考えなのか…。
国を憂いてくださっているならば良い。
そうだ、今日ラダに聞いた話によれば、あの方は武術を習っておいでらしい。
毎日決まった時間に外出なさっているのは知っていたが…。
幼少のみぎりより、お一人になるのを好まれる方だったので、まさかラダに武術を習っているとは思わなかった。
すでに王を守る騎士達が束になっても敵わないだろうとの見解。
表情、感情に乏しい方なのでつかみにくいが、あるいは…我らと意志を共にしてくださるやもしれん。
ラダからその旨話してもらおう。
これを読んだ時、心臓が冷えた。
十五の時、侍従に指名したアクラという老人の日記だ。
いつも彼の部屋の机に置かれていた物だ。
だがなぜそれが家にあったのか…。
次元も違う国の物。
確か弟と妹を任せた時も彼は荷物の中に入れていたはずだ。
時空を越えて今まで…。
あの世界では、魔術師や種族の違う者が大勢いた。
幼い弟妹も母であるエルフの血を継いでいる。
先に逃がした第六王妃と合流し、彼らの国で保護されたはずだが…。
エルフの持つ魔術で時空を越えて来たとも考えられる。
だが、なぜこの次元に…偶然だろうか…。
そう考えながら、読み進め覚悟を決めて最後のページに手をかけた。
―カルナ歴21年1水ノ月3日―
この国はもうだめだろう…。
今日、王はまた税を上げられた。
先の戦が終わったばかりだ。
民達は飢え、安心して眠る事もできないでいる。
次代をとも思うが、皇子・皇女はどなたも気が弱く身体も弱い。
産まれたばかりの双子の皇子と皇女は問題外だ。
唯一の希望は、第三皇女のリュスナ様だ。
だがあの方は何をお考えなのか…。
国を憂いてくださっているならば良い。
そうだ、今日ラダに聞いた話によれば、あの方は武術を習っておいでらしい。
毎日決まった時間に外出なさっているのは知っていたが…。
幼少のみぎりより、お一人になるのを好まれる方だったので、まさかラダに武術を習っているとは思わなかった。
すでに王を守る騎士達が束になっても敵わないだろうとの見解。
表情、感情に乏しい方なのでつかみにくいが、あるいは…我らと意志を共にしてくださるやもしれん。
ラダからその旨話してもらおう。
これを読んだ時、心臓が冷えた。
十五の時、侍従に指名したアクラという老人の日記だ。
いつも彼の部屋の机に置かれていた物だ。
だがなぜそれが家にあったのか…。
次元も違う国の物。
確か弟と妹を任せた時も彼は荷物の中に入れていたはずだ。
時空を越えて今まで…。
あの世界では、魔術師や種族の違う者が大勢いた。
幼い弟妹も母であるエルフの血を継いでいる。
先に逃がした第六王妃と合流し、彼らの国で保護されたはずだが…。
エルフの持つ魔術で時空を越えて来たとも考えられる。
だが、なぜこの次元に…偶然だろうか…。
そう考えながら、読み進め覚悟を決めて最後のページに手をかけた。