蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜お祝いの品〜‡
コンコンっ
「蒼葉姉ちゃん。
今良い?」
軽いノックの後に、控えめに問いかけてきたのは、弟のように可愛がっているこの屋敷の家令の一人息子、木坂快だった。
「いいよ。
入っておいで」
「えへへ」
昔からいたずらっぽく笑う顔は可愛くて、男の子らしくやんちゃでいつも元気いっぱいだ。
「ちょうど良かった。
これを渡そうと思ってたんだ」
「何?」
「十歳のお誕生日おめでとう」
「うわ!
万年筆?!」
「ふふっ。
どうだろう。
気に入った?」
「うんっ。
ありがとう、姉ちゃんっ」
目を輝かせて喜ぶ快を見て、自然に笑みがこぼれる。
「それで?
何か用があったんじゃないの?」
「あっそうだった…」
気まずそうに動きをとめた快を見つめ、微笑んでいれば、一点に目が吸い寄せられた。
快の胸ポケットだ。
確かな気配。
もそもそと動いているのは気のせいではないだろう。
軽く血の気が引く。
そうだ、あそこに居るのは…。
「あのな…姉ちゃん…」
目を反らし、言いづらそうにする快、いつもはその仕草が気になるだろうが、今はそのポケットから目が離せない。
「えっと〜。
俺、小さい時から皆に秘密にしてる友達がいるんだ…。
そんで〜どうもそいつが、姉ちゃんを知ってるらしくて〜」
はっとして快の腕を見れば、見たことのあるブレスレットがはめられていた。
「俺も知らなかったんだけど、姉ちゃんも知らないみたいだったから…」
もう確定だ。
重いため息をついて、思わず頭を抱える。
「…イル…」
「うえっ」
変な返事をしてこちらを向く快に苦笑しながら、仕方なくもう一度小さな友人の名を呼んだ。
「イル。
出てきなさい」
〔むみ〜ぃ《みつかった〜》〕
可愛く飛びだして言うイルに、呆れを通りこして笑いがこみ上げてくる。
「何が”みつかった〜”だ。
お前の言う友人は快だったのか…。
どおりで…中途半端なサイズの腕輪だと思った…」
〔みぃ〜み《ぴったり〜だよ》〕
「そうみたいだね」
〔みぃ《えっへん》〕
「へへっ」
同じ様に自慢気にするサイズの違う二人は笑える。
「よし。
秘密が秘密じゃなくなったし、明日は休みだし、今夜は皆でお祝いしよう」
「え?
皆って?」
「勿論、イル達とだよ」
コンコンっ
「蒼葉姉ちゃん。
今良い?」
軽いノックの後に、控えめに問いかけてきたのは、弟のように可愛がっているこの屋敷の家令の一人息子、木坂快だった。
「いいよ。
入っておいで」
「えへへ」
昔からいたずらっぽく笑う顔は可愛くて、男の子らしくやんちゃでいつも元気いっぱいだ。
「ちょうど良かった。
これを渡そうと思ってたんだ」
「何?」
「十歳のお誕生日おめでとう」
「うわ!
万年筆?!」
「ふふっ。
どうだろう。
気に入った?」
「うんっ。
ありがとう、姉ちゃんっ」
目を輝かせて喜ぶ快を見て、自然に笑みがこぼれる。
「それで?
何か用があったんじゃないの?」
「あっそうだった…」
気まずそうに動きをとめた快を見つめ、微笑んでいれば、一点に目が吸い寄せられた。
快の胸ポケットだ。
確かな気配。
もそもそと動いているのは気のせいではないだろう。
軽く血の気が引く。
そうだ、あそこに居るのは…。
「あのな…姉ちゃん…」
目を反らし、言いづらそうにする快、いつもはその仕草が気になるだろうが、今はそのポケットから目が離せない。
「えっと〜。
俺、小さい時から皆に秘密にしてる友達がいるんだ…。
そんで〜どうもそいつが、姉ちゃんを知ってるらしくて〜」
はっとして快の腕を見れば、見たことのあるブレスレットがはめられていた。
「俺も知らなかったんだけど、姉ちゃんも知らないみたいだったから…」
もう確定だ。
重いため息をついて、思わず頭を抱える。
「…イル…」
「うえっ」
変な返事をしてこちらを向く快に苦笑しながら、仕方なくもう一度小さな友人の名を呼んだ。
「イル。
出てきなさい」
〔むみ〜ぃ《みつかった〜》〕
可愛く飛びだして言うイルに、呆れを通りこして笑いがこみ上げてくる。
「何が”みつかった〜”だ。
お前の言う友人は快だったのか…。
どおりで…中途半端なサイズの腕輪だと思った…」
〔みぃ〜み《ぴったり〜だよ》〕
「そうみたいだね」
〔みぃ《えっへん》〕
「へへっ」
同じ様に自慢気にするサイズの違う二人は笑える。
「よし。
秘密が秘密じゃなくなったし、明日は休みだし、今夜は皆でお祝いしよう」
「え?
皆って?」
「勿論、イル達とだよ」