蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜未知〜‡
快は何か知っている。
これは勘だ。
直感力にはかなり自信がある。
こういう時の勘は外さない。
しかし、”異世界”に行ったなんて事は到底信じられるものではない。
快は蒼葉に口止めされているのかもしれない。
ならば、少しずつでも情報を引き出し、自分で答えを見つけるしかない。
だから部屋から飛び出していった快を追いかけた。
暗い廊下を駆け抜けていく快を黒い影と認識しながら追いかけた。
そしてそれは現れた。
天井から降ってきたそれは、小さな淡い光で、その下で快が急に足を止めそれに手を差し出した。
「イルッ」
〔みみゅ〜〕
「うん。
俺をウルじぃの所へ連れてってくれ」
〔みみみゅ〜ぅっみッ〕
「えっ?!
あっ柚月ッ」
「…何だ…それは…」
〔みみ〜ぃ〕
「うっあっなッ何でもないっただのお人形っ」
「…明らかにおかしいだろ…」
「うっう〜ん…じゃぁ…オヤスミっ」
「…待てコラ…っ」
目が泳いでいる。
手に包むように持った”生き物”から目を離さず、逃げようとする快の襟首を掴んだ。
「くっ離せっ」
「静かにしろっ。
ちょっと来い」
「クソ〜っ。
猫みたいに掴むな〜っ」
そのまま引きずり、蒼葉の部屋へと投げ込んだ。
「っう痛ぇっ」
〔みゅふぅ〜っ〕
「で?
何なんだコレは」
「コレ言うな。
俺と姉ちゃんの友達だぞっ」
「蒼葉様の?」
「そうだ。
俺と姉ちゃんだけが知ってる秘密だ」
得意気な顔が憎らしい。
大人気ないと言われても、イラッとしてしまうのは、蒼葉が絡んだ事だからだ。
〔みゅみみぃ〜〕
「イルっこんなヤツと話さなくていい。
行くぞ」
〔みみ?〕
「いいんだ。
姉ちゃんもこの前言ってただろ。
頭の固い”大人”には、言ってもわからんって」
〔みゅ〜ぅ〕
「でもじゃない。
ほら、早くしないと朝になっちゃう」
〔み〜〕
「よしっ行くぞ」
「…おい。
何でお前は言葉がわかるんだ…?」
「は?
ちゃんと喋ってんじゃん」
〔みみ〜?みみゅぅみみ〕
「…?何だって?」
「…聞こえないんなら、受け入れろって…」
「受け入れる?」
〔みぃ〜ぃ〕
落ち着け。
大分この”生き物”にも慣れてきた。
そうだ、蒼葉が以前言っていた。
『そこにある現実をちゃんと見ろっ。
目を通して見るモノではなく、そこに在るものを自分の中に落し込む。
否定する自分を先ず見つけなさい』
〔みみゅぅ?《きこえた?》〕
「ああ…聞こえる…」
快は何か知っている。
これは勘だ。
直感力にはかなり自信がある。
こういう時の勘は外さない。
しかし、”異世界”に行ったなんて事は到底信じられるものではない。
快は蒼葉に口止めされているのかもしれない。
ならば、少しずつでも情報を引き出し、自分で答えを見つけるしかない。
だから部屋から飛び出していった快を追いかけた。
暗い廊下を駆け抜けていく快を黒い影と認識しながら追いかけた。
そしてそれは現れた。
天井から降ってきたそれは、小さな淡い光で、その下で快が急に足を止めそれに手を差し出した。
「イルッ」
〔みみゅ〜〕
「うん。
俺をウルじぃの所へ連れてってくれ」
〔みみみゅ〜ぅっみッ〕
「えっ?!
あっ柚月ッ」
「…何だ…それは…」
〔みみ〜ぃ〕
「うっあっなッ何でもないっただのお人形っ」
「…明らかにおかしいだろ…」
「うっう〜ん…じゃぁ…オヤスミっ」
「…待てコラ…っ」
目が泳いでいる。
手に包むように持った”生き物”から目を離さず、逃げようとする快の襟首を掴んだ。
「くっ離せっ」
「静かにしろっ。
ちょっと来い」
「クソ〜っ。
猫みたいに掴むな〜っ」
そのまま引きずり、蒼葉の部屋へと投げ込んだ。
「っう痛ぇっ」
〔みゅふぅ〜っ〕
「で?
何なんだコレは」
「コレ言うな。
俺と姉ちゃんの友達だぞっ」
「蒼葉様の?」
「そうだ。
俺と姉ちゃんだけが知ってる秘密だ」
得意気な顔が憎らしい。
大人気ないと言われても、イラッとしてしまうのは、蒼葉が絡んだ事だからだ。
〔みゅみみぃ〜〕
「イルっこんなヤツと話さなくていい。
行くぞ」
〔みみ?〕
「いいんだ。
姉ちゃんもこの前言ってただろ。
頭の固い”大人”には、言ってもわからんって」
〔みゅ〜ぅ〕
「でもじゃない。
ほら、早くしないと朝になっちゃう」
〔み〜〕
「よしっ行くぞ」
「…おい。
何でお前は言葉がわかるんだ…?」
「は?
ちゃんと喋ってんじゃん」
〔みみ〜?みみゅぅみみ〕
「…?何だって?」
「…聞こえないんなら、受け入れろって…」
「受け入れる?」
〔みぃ〜ぃ〕
落ち着け。
大分この”生き物”にも慣れてきた。
そうだ、蒼葉が以前言っていた。
『そこにある現実をちゃんと見ろっ。
目を通して見るモノではなく、そこに在るものを自分の中に落し込む。
否定する自分を先ず見つけなさい』
〔みみゅぅ?《きこえた?》〕
「ああ…聞こえる…」