蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜誕生会〜‡
屋敷から約三十分。
パーティー会場に到着した。
「蒼葉様…いえ、お嬢様。
どうぞ」
そう言ってドアを開け、手を差し出す。
蒼葉は素直に手を取り、優雅にするりと車から降りた。
そのままエスコートし、入った会場には、早宮グループ傘下の重役達や他のグループ会社の関係者、名のある財界のトップなど、金持ちの成金がそろっていた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「…気にしなくて良い。
お祖父様にお祝いを言ったら、なるべくすぐに出るから。
春臣は、父の所へ。
仮にも第一秘書が、私なんかと居たら、何を言われるか…」
「ですが…っ」
顔色は最悪だ。
今気力で動いているだけのこの人を一人になどしたくない。
ただでさえ人混みが苦手な人なのだ。
「行って。
お祖父様が気づいた。
真っ直ぐ行けば障害はないよ。
私は一人でかまわない」
そう言って、穏やかな笑顔をその顔にのせて祖父の方へと優雅に歩いていく姿は、誰の目から見ても美しい令嬢だった。
その背に頭を下げ、上司である蒼葉の父を探す。
すぐに見つかった社長にその後付き従いながら、目の端でさりげなく蒼葉を確認する。
ようやく祖父との話は終わったらしい。
しかし、すぐに退席しようとする蒼葉の前には、予想通り嫌な人壁が出来ていた。
「柚月くん」
「はい」
社長に呼ばれ、視線を向ければ、人の良さそうな笑顔と目があった。
「すまないが、娘を送ってやってくれ。
あれでは倒れてしまうよ。
今日はもう良いから、蒼葉を頼むよ」
「…っですが社長…」
「君だから任せるんだよ。
私の方は大丈夫。
彼らがいるしね。
ヘマはしないよ、心配しないでくれ」
「いえ…そのような心配は…」
「君は優秀だから、私の面倒も、娘の面倒も、両方みえてしまって困る。
だから、今日と明日はあの子を見ていて。
明後日は僕の方にね。
仕事は頑張っても残ってしまうだろうから、あまり休みをあげられないけど、よろしくね」
「わかりました…」
ニコニコと人好きのする顔で言われ、少々気が抜ける。
だが、これは正直ありがたい申し出だった。
深く頭を下げ、真っ直ぐに蒼葉の元へと向かった。
屋敷から約三十分。
パーティー会場に到着した。
「蒼葉様…いえ、お嬢様。
どうぞ」
そう言ってドアを開け、手を差し出す。
蒼葉は素直に手を取り、優雅にするりと車から降りた。
そのままエスコートし、入った会場には、早宮グループ傘下の重役達や他のグループ会社の関係者、名のある財界のトップなど、金持ちの成金がそろっていた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「…気にしなくて良い。
お祖父様にお祝いを言ったら、なるべくすぐに出るから。
春臣は、父の所へ。
仮にも第一秘書が、私なんかと居たら、何を言われるか…」
「ですが…っ」
顔色は最悪だ。
今気力で動いているだけのこの人を一人になどしたくない。
ただでさえ人混みが苦手な人なのだ。
「行って。
お祖父様が気づいた。
真っ直ぐ行けば障害はないよ。
私は一人でかまわない」
そう言って、穏やかな笑顔をその顔にのせて祖父の方へと優雅に歩いていく姿は、誰の目から見ても美しい令嬢だった。
その背に頭を下げ、上司である蒼葉の父を探す。
すぐに見つかった社長にその後付き従いながら、目の端でさりげなく蒼葉を確認する。
ようやく祖父との話は終わったらしい。
しかし、すぐに退席しようとする蒼葉の前には、予想通り嫌な人壁が出来ていた。
「柚月くん」
「はい」
社長に呼ばれ、視線を向ければ、人の良さそうな笑顔と目があった。
「すまないが、娘を送ってやってくれ。
あれでは倒れてしまうよ。
今日はもう良いから、蒼葉を頼むよ」
「…っですが社長…」
「君だから任せるんだよ。
私の方は大丈夫。
彼らがいるしね。
ヘマはしないよ、心配しないでくれ」
「いえ…そのような心配は…」
「君は優秀だから、私の面倒も、娘の面倒も、両方みえてしまって困る。
だから、今日と明日はあの子を見ていて。
明後日は僕の方にね。
仕事は頑張っても残ってしまうだろうから、あまり休みをあげられないけど、よろしくね」
「わかりました…」
ニコニコと人好きのする顔で言われ、少々気が抜ける。
だが、これは正直ありがたい申し出だった。
深く頭を下げ、真っ直ぐに蒼葉の元へと向かった。